イカルゴの貸しだぞのセリフの意味

ハンターハンターのキメラアント編で東ゴルトー共和国の宮殿突入後にイカルゴがキルアに対して「貸し」だぞ!!というセリフがあります。

あれ?イカルゴがキルアに助けてもらったんじゃないの?と思う人もいるようなので、「貸し」の意味や「貸しだぞ!!」というセリフに繋がるそれまでの流れを詳しく説明していきます。

テレビアニメ派の人や週刊ジャンプ派の人はわかりにくいかもしれません。

ハンターハンター特有の休載期間の問題やテレビアニメは録画してないと見逃したりする事もありしますし、気になる事を確認するために何度か見なおすという事もできないですからね。

漫画の作品としてはHUNTER×HUNTERのコミック25巻「No.270 貸し」で描かれています。

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貸しだぞの意味

では実際にイカルゴがキルアに助けてもらったような形になっているにも関わらず「貸しだぞ!!」と言った意味について解説します。

これは結論から言うとキルアはイカルゴを助けてはいけなかった場面で助けているのです。

キルアの心理描写が物語っているように後ろめたい気持ちや戸惑いもあったはずです。

どういう事かというと、この場面ではキルアは自分の役割、自分の任務に集中すべきだったという事です。

そして命を懸けて任務についているイカルゴを信頼して本人に任せるべきだったわけです。

でもキルアは直感や本能だったのか本来とるべき行動を取らずにイカルゴを助けに行きました。

イカルゴの心理状態

この時のイカルゴの心理状態を考えてみます。

イカルゴとキルアはお互いに命を助けあって本当の仲間になっている状態です。

お互いの事を既に信頼しあった状態で宮殿への突入をしています。

にもかかわらずキルアは自分の頭の中で決めているルールや、仲間に対して個々の役割を守れと誰よりも厳しく説いた内容と全く違う行動をとってしまったわけです。

イカルゴからすると命の恩人のキルアとはいえ「俺の事を信頼してないのか?」と失望してしまってもおかしくない状況です。

命の懸かった状況とはいえ、短気な性格なら怒ってもおかしくない状況です。

にも関わらず大人のイカルゴからは「貸しだぞ!!」とのセリフが出ました。

この部分の心理状態を補足するならば「今回の事は気にするな。貸しとしておくから今は任務に集中しろ。」という意味が込められていたのだと思います。

イカルゴの人間だった頃の年齢はジャイロに近いのであれば30代くらいですからね。

13歳のキルアに対してかける言葉としてはさすが年上(元ですが)だなといったところです。

年上のイカルゴから見るとキルアが後ろめたい気持ちで混乱しているのがわかったのでしょう。キルアの性格は冨樫義博先生の頭の中で作られた少年のキャラなので思考はかなり大人寄りなんですけどね。

軍儀での伏線が張られていた

実は驚く事にこのイカルゴとキルアの心理描写を含んだやり取りはコムギとメルエムの軍儀の中でも伏線として張られていたのです。

それが再現された描写といえます。

冨樫義博先生を天才といわしめる、あまりにも深いコムギとメルエムの軍儀のネタバレ考察記事はこちらです。

⇒ 軍儀に張られた伏線とネタバレ

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ストーリーの流れ

イカルゴがキルアに「貸しだぞ!!」と言ったセリフは今までのストーリーからすると必然な流れとなっています。

闇病院でのやりとり

キルアが闇病院での治療を終えてイカルゴを仲間に誘った時に、イカルゴはうれしさのあまり「もうオレ・・・今死んでもいい~~~」とまで言っています。

それに対してキルアが返したセリフは「生死の境で生きてる奴は死んでもいいなんて絶対思わない」とシビアな事を言っています。

この時にイカルゴは覚悟を決め覚醒したはずです。

キルアは「来れるか?こっちへ」と問いかけます。

イカルゴは「行くさ。何をおいてもな!!」と信念に生きる者の世界を知り、自分がそこにいける事を確信し覚悟を決めたのです。

この時のイカルゴは無茶苦茶かっこいいですよね。

現実世界でも似たような経験をしている人は多いと思います。

パームの状況について

宮殿突入する前の打ち合わせではゴンがパームの状況を心配していました。

それに対してシュートは「こちらからパームの様子を探ろうとするのは彼女の覚悟を侮辱する行為だぞ」とまで言っています。

その時にキルアは「そんな最悪の時のことをあれこれ考えるより大事なのはパームを信じることだろ!?」と言っていました。

イカルゴもこれを聞いていました。

この流れがあったのでキルアがイカルゴを助けに行った行動は明らかに自分の言っている事や考えと違っていたわけです。

キルアの心境

キルアは暗殺家業の経験からだと思いますが、個々の役割を守れと誰よりも厳しく周りに説いた張本人だったわけです。

それが自分が言っていた事と違った行動を無意識に取った事で頭はパニックになります。

そんな状況のキルアを元に戻したのがイカルゴの「貸しだぞ!!」の一言だったわけです。

冨樫義博先生はどう考えてこの演出を作ったのか気になるのですが、本当にすごいですよね。

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まとめ

キメラアント編ではキルアが取った行動に似た行動を他のメンバーも取っています。

ネテロ会長とシルバは命を懸けて王を倒しにきたにも関わらず、血にまみれたコムギを抱えるメルエムに対しては攻撃を仕掛けませんでした。

ナックルはシュートがユピーに侮辱されたときや、モラウが命を取られそうになった時に、世界を救う任務よりも仲間の名誉や命を優先させました。

人の判断や決断は時に合理的ではないのです。

キルアがとった行動はどうだったのでしょうか。

インザキとマエノレはそれほど強い相手ではなかったので、イカルゴの命を救うために本能や直感が自分のルールを曲げたのか、キルアが精神的にもう1段強くなるための神(冨樫義博先生?)の与えた試練だったのかは謎です。

いやはやハンターハンターはいろいろと考えさせらるので考察をはじめると深くなってしまいますね。

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