心滴拳聴の意味と伏線のネタバレ

ハンターハンターでゼノが心滴拳聴(しんてきけんちょう)について「確かにある」と急に誰かに向かって語りだすシーンがあります。

この心滴拳聴についての意味や伏線がいったいどこに掛かっていて回収されているのかなどを考察を踏まえて解説しネタバレしていきます。

ちなみに冨樫義博先生が作った四字熟語かもしれません。笑。

実際にゼノが語っているのはHUNTER×HUNTERのコミック25巻「No.264 突入④」です。

ゼノが「龍星 群(ドラゴンダイブ)」を使い、ネテロ会長とピトーが対峙した直後に急に時系列の入れ替えとともに語りだされています。

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心滴拳聴の意味

心滴拳聴(しんてきけんちょう)の意味についてはどういった状況でどのような現象が起きるかというところから理解すると意味がわかりやすいです。

まず人は時間感覚の矛盾が起きる場合が明確にあります。

ハンターハンターの作品内ではゼノが走馬灯を例にして上げています。

ゼノ「死ぬって瞬間に時間が超スローになって自分の人生振り返る感覚があるじゃろ?」

このセリフは伏線となって実際にナックルとユピーの戦いでナックルがユピーの策略にはまって命を落としかけた時に経験しています。

時間感覚の矛盾

人が経験する時間感覚の矛盾は実際にあります。

走馬灯は死ぬ時じゃないとわからないから実際にあるかの証明は難しいですが、ありえるかと思います。

おそらくナックルのように臨死体験をした人が経験して、それを伝えたのがきっかけなんじゃないのかなと思います。

例えば現実世界では交通事故などで臨死体験や生死をわける瞬間を経験した時に起こりえる感覚なんだろうなと思えるわけです。

私は偉大な覚醒者の1人であるマハトマ・ガンジーの生き方を尊敬していますが、ガンジーは暗殺されています。彼は自分を理不尽にも殺害した犯人に対して、即死に近い状況だったにも関わらず「あなたを許す」というメッセージを残したとされています。

信じる信じないは人それぞれです。

この人は無茶苦茶強い人だなと思えるわけです。

ガンジーが残した名言の1つにそれを示す内容があります。

「弱い者ほど相手を許すことができない。許すということは強さの証だ。」

人としての生き方が既にこの名言を裏付ける方なので、決して口先だけの人ではないのです。

私は罪は償えはするけど決して消えないという考えがあって、悔いてもいず、謝ってもいない人を許す領域は私にとっては未知の世界ですが亡くなる瞬間に何かを感じたのかもしれませんね。

他にも枕中記(ちんちゆうき)という中国の故事で「一炊の夢」という四字熟語も時間感覚の矛盾を表していたりします。

アインシュタインの言葉

かの有名な理論物理学者であり覚醒者でもあるアルベルト・アインシュタインの言葉があります。

「熱いストーブの上に1分間手を当ててみて下さい。まるで1時間位に感じられる。では可愛い女の子と一緒に1時間座っているとどうだろう、まるで1分間ぐらいにしか感じられない。それが相対性です。」

この格言は男性目線になってますが、女性の場合は好みのイケメンとのデートに置き換えてもらえればわかりやすいかと思います。

という事で時間感覚の矛盾は普通に現実的にもありえるわけです。

相対性理論は核開発にも応用されてしまったという経緯があり、平和主義者のアルベルト・アインシュタインは苦悩しています。

ネテロが使った貧者の薔薇(ミニチュアローズ)も核がモデルとなっています。

武道における現象

時間感覚の矛盾は人間の感覚が研ぎ澄まされた時にも起き得る現象であれば、武道において何が起こるかという事です。

この時に相手が思っている事が聞こえてくるという現象が心滴拳聴(しんてきけんちょう)です。

超能力やオカルトっぽく表現するとテレパシーみたいなものですね。

スピリチュアルっぽく例えるとお告げみたいな感じです。

「心」こころの
「滴」しずくを
「拳」こぶしで
「聴」きく

という意味です。実際にハンターハンターの作品中では、このゼノが語り出している直前にネテロ会長の心の声をピトーが聞いて(聴いて)います。

「滴」だけ少し意味がわかりにくいですよね。

少し言葉を変えると「声」みたいな感じで意味がわかりやすくなりますが、おそらく「涙」の方がしっくりきますね。

このゼノが語った時間感覚の矛盾と心滴拳聴は伏線となり、この後何度も描写されることになります。

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伏線が回収されたシーン

では実際にゼノが語った誰かに対して語った後に、時間感覚の矛盾と心滴拳聴(しんてきけんちょう)の伏線が回収されていくシーンを確認していきます。

この2つは対になっている場合と、時間感覚の矛盾だけが起きる場合に分かれています。

時間感覚の伏線の回収

ハンターハンターのキメラアント編ではゼノが伏線として語りだした「確かにある」という時間感覚の矛盾に関しての伏線はその後何度も回収されていき、物語が終わる際にも回収されています。

その内容を順番に見ていきたいと思います。

王宮への突入シーン

モラウのカウントダウンから始まって王宮に突入したゴン達ですが、ここから数十秒、そして数分間の間はまさに時間が凝縮された中でのシーンとなっています。

HUNTER×HUNTERのコミック26巻「No.271 分断」での時間経過をみてみるとほんの19秒ほどです。

0:00:18:56という事で19秒経たずに大階段でのユピーとの攻防があって、ゼノは既に「龍頭戯画(ドラゴンヘッド)」でネテロとメルエムを地下に核実験場がある場所まで運んでいます。

モラウは既にプフを監獄ロック(スモーキージェイル)で閉じ込めていました。

いわゆる読者が漫画を読む何倍もの速度でハンターハンターの世界の中では時間が経過しているという事です。

連載の休載もあるわけでして・・・面白いですよね。笑。

ネテロとゼノの西塔でのシーン

ゼノとネテロが円を使って王の下へ辿り着いた時に、コムギは血に染まっていました。

HUNTER×HUNTERのコミック25巻「No.268 王」でのシーンです。

血に染まる少女を優しく抱えるメルエムを見たゼノとネテロは時が止まりました。

そしてメルエムから戦う場所を変える提案をされた後に無防備な状態になってしまい、その時にメルエムが二人の間を横切っていますが、この時にも時間感覚の矛盾は起こっています。

この時の時間感覚の矛盾はゼノがシルバに対して怪鳥の上で話した会話で明確に伏線が回収されています。

HUNTER×HUNTERのコミック25巻「No.278 破産」でのシーンです。

「おお!そうじゃ。今日なレアな体験したぞ。時間がな。ぎゅ~~~~~~ッと凝縮されてな」

ゼノとシルバは王宮突入から約3分半で任務を終えて帰路についています。

ナックルが見た走馬灯

ナックルがユピーの策略にはまって自分が死ぬ事を理解した時に時間感覚の矛盾が起こっています。

実際には走馬灯を見たわけでなく、同じような感覚を経験したという事です。

HUNTER×HUNTERのコミック26巻「No.280 直撃」での描写です。

ウェルフィンの「コムギ」のセリフ

ウェルフィンがキメラアント編を終わらせるために呟いたセリフが「コムギ」です。

このセリフによってメルエムは記憶を取り戻します。

ウェルフィンの名前の由来といえる「well fin」は上手に終わるという意味が込められていました。

HUNTER×HUNTERのコミック30巻「No.313 一言」でのシーンです。

ウェルフィンはメルエムの記憶を取り戻す「コムギ」の一言を発しなければメルエムに食べられて死んでいました。

この一言を導き出すために脳細胞はめまぐるしく働き答えを導き出しています。

その直前に走馬灯も見ていて、死を意識して臨死体験をしているわけですが容姿も一瞬にして百余年が経過したように変わり果てました。

心滴拳聴の伏線の回収

心滴拳聴が起きる条件は誰かの戦いによってお互いに感覚や神経が研ぎ澄まされている状態で、時間感覚の矛盾が起きている時です。

心の滴が聴こえてくるのです。

ピトーが聴いたネテロの声

HUNTER×HUNTERのコミック25巻「No.264 突入④」においてゼノが「確かにある」と語り始める直前にまずはピトーがネテロの心の滴を聴いています。

ネテロ「受け攻めいくつか予想しとったが、そりゃ悪手じゃろ。蟻んコ」

この部分でもあえてコムギの「コ」をカタカナで使ってますね。

キルアが聴いたゴンの声

ピトーを倒したゴンは、死後さらに強大となった念をまとったピトーに再び襲い掛かられ、右腕を失っています。

その時にキルアがゴンの命を助けたわけですが、ゴンの心の声を聴いています。

HUNTER×HUNTERのコミック29巻「No.307 喪失」でのシーンです。

ゴン「大丈夫。痛くないよ。強がりじゃない。少しだけうれしい。やっと・・・カイトと同じになれた。あの時の・・・少しだけ救われた。」

このあと戦いは終わり心滴拳聴の伏線は全て回収されました。

ネテロの声を聴いたピトーが死に、ネテロも左腕を失って死んでいます。そしてピトーと戦ったゴン(そしてカイトも)は右腕を失い心の声をキルアが聴いているという繋がった一連の伏線の流れが本当にすごいですよね。

時系列的にはこの後、時間感覚の矛盾の伏線がウェルフィンに「コムギ」の一言のシーンで回収されて完結します。

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まとめ

ゼノが「確かにある」と急に語りだした時間感覚の矛盾と「心滴拳聴」ですがあまりにも深い意味が込められて伏線が張られていますよね。

この記事もここまで長くなるとは思ってもみませんでした。

メルエムとネテロの戦い

あえてまとめに持ってきてみたのですが、メルエムとネテロの戦いも時間感覚の矛盾は起こっていました。

ネテロとピトーの対峙でピトーが聴き、ピトーとゴンの戦いでキルアが聴いた「心滴拳聴」の流れからすると、ネテロ会長の最後の言葉はメルエムに聴こえていたはずです。

ネテロ会長「地獄があるならまたあおうぜ」

この声をメルエムは聴いたのではないでしょうか。

さらにはネテロの記憶を経由して貧者の薔薇(ミニチュアローズ)を手術で埋め込んだ医師の声すら聴こえたのかもしれません。

メルエム「貴様は・・・!!!」

補足するのであれば、ここは、「貴様は最初から一緒に死ぬつもりだったのか!!!」

ネテロ会長「そう・・・貴様は・・・」

メルエムとネテロ会長「詰んでいたのだ。初めから」

ここはアニメではメルエムのみのセリフとなっていたようですが、その解釈も可能だと思います。

ちなみにこの部分が軍儀の弧孤狸固(ココリコ)、別名で離隠(ハナレガクシ)の打ち方における死路なわけです。

⇒ 軍儀に張られた伏線とネタバレ

ハンターハンターという作品は本当に深淵が見えない深さを感じますね。

ゼノが語りだした「確かにある」というセリフで始まった時間感覚の矛盾と「心滴拳聴」についてですが、一体誰に対して語っているのかも気になると思いますので考察してみました。

⇒ ゼノの確かにあるのセリフの相手は誰なのか

伏線のネタバレ
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